NFTのプライシングを決める基準とは?-Re:Vive -Dweb- Conference 2022@KYOTO 行ってきました #Dweb関西
#004 Web3 Magazine 2022年6月28日号
一昨日6月26日(日)、京都リサーチパークにて開催された「Re:Vive -Dweb- Conference 2022@KYOTO」に行ってきましたが、非常に学びが多いイベントでしたのでレポートを共有します。
※ セッション内容は録画していた訳ではなく、筆者のメモ書き頼りに文字起こししてるので曖昧な点や解釈が誤ってる点などあるかもしれないことご了承ください…!
会場はこんな感じでコロナ対策のために席間隔は空いておりましたが、満員御礼となっており100名を超える参加者が京都の会場に集っていました。NFT.NYC組もニューヨークから帰ってきたばかりにも関わらず京都まで遠征されているもちらほらいました。
セッション#1「Layer1, Layer2チェーンの可能性と選択肢の多様化による未来」
セッション1はパブリックチェーンセッションということで登壇者の方々がそれぞれ思い思いのチェーンについてざっくばらんに話すセッションでした。NEAR Protocol、Ethereum L2ソリューションであるStarkNet、Polkadot、Cosmos、Avalancheなど勃興するLayer0, Layer1, Layer2について一人ではキャッチアップしきれない多様な広がりがあるなと改めて感じさせられました。
こういった複数チェーンを前提としたエコシステムになっている中、各エコシステム毎に仕様が異なるサブチェーンの島宇宙が増えてきている感じがしています。
Polkadotにおけるパラチェーン
AvalancheにおけるSubnets
PolygonにおけるSupernets
CosmosにおけるZone
などなど。ブロックチェーンの相互運用(インターオペラビリティ)を前提としながらも、それぞれのエコシステムによって分断がなされているが故にその大本のチェーンを超えるためのブリッジがセキュリティネックとなり、そこが狙われるリスクがますます高まっていると感じます。それぞれのブロックチェーンは単一障害点を克服しているものの、そこを繋ぐブリッジが単一障害点として高リスクになってきています。
つい先日もL1チェーンであるHarmonyのEthereumやBNBとブリッジしているHorizon Bridgeがハッキングを受け135億円が流出しました。流出騒ぎを見ているとどれもブリッジが狙われていますよね…。
PolyNetwork:660億円
Wormhole:340億円
Axie Infinity Roninブリッジ:750億円
Harmony Horizon Bridge:135億円
これらのブリッジをよりセキュアに保っていくことが今後のブロックチェーンのエコシステム成長のキモになっていきそうですね。
■ セッション#2「グローバルマーケットでのプレゼンスの出し方、トライの仕方」
海外市場において日本人プレイヤーがどうやってプレゼンスを出していくかというテーマについて語られました。日本の限られたマーケットでプレゼンスを出す場合は、個人でもプロジェクトにおいてもとにかく海外先駆事例をもってくる、いわば孫正義のタイムマシン経営が常套手段として使われていますが、グローバルにおいてプレゼンスを出すためには先駆事例とならなければいけない点にハードルの高さがありますね。
そんな中でも海外マーケットのプレゼンスの発揮の仕方についてはphiのco-founderであるShugoさんが自身の経験からノウハウを共有してくれてましたので一部抜粋します。
とにかく泥臭くインナーサークルに入ってインフルエンス力を持ったキーマンにアプローチしていくことが大事
まずグローバルのハッカソンに出てプロジェクトコンセプトがそういった人に刺さるか検証を行う(Ethereumのグローバルハッカソンがおすすめ)
そこから刺さったキーマン経由でネットワーキングのわらしべ長者の如く、次のキーマンを紹介してもらっていく
具体的な施策レベルにおいてはTwitterのタイムラインハックなど地道なアプローチが効果的
ホワイトペーパーを頭出ししてTwitter上のリアクションを見る
Lens ProtocolがやっているようなTwitter認証のキャンペーンを回す
NFTコレクションであればパーティー開催でのネットワーキング
MOAT(参入障壁)はコンポーザビリティの観点から築く
プロダクトと親和性が高いプロトコルとの連携を積極的にしていったり、そういったプロトコルのGrantsをとったりエコシステムに組み込まれながらMOATを築いていくのが大事。
グローバルプロジェクトをはじめるにはまずPoCにおいても認知獲得においてもハッカソンからはじめていくのが良さそうですね。
■ Re:Vive Dweb Pitch 2022
Re:Vive Dweb PitchではWeb3起業家がピッチを行い、メンターから公開フィードバックをもらうという感じで行われました。
以下3つのピッチが行われました。
Eat to Earn:Verro
Web3における連絡・通知手段:DMTP
ワップ&ブリッジを1タップでできる:Futaba
それぞれWeb3の特性を活かした新しいサービスについてピッチを行っていました。
ここからサービス実用化が楽しみです。
■ セッション#3「持続可能なNFTコレクタブルズ運営を考えるためのキーポイント」
半分がアバター参加ということで、もっとも目立っていたセッションでした 笑。
登壇者全員がNFT.NYC組ということで急遽NFT.NYCについての報告する会になりました。
ベロリンFounderのAkimさんからは、着ぐるみをきているとミッキーマウス的な感覚で「写真を取ってください」と声をかけられるのでネットワーキングに効率良かったというフィードバックがありました。クール系のNFTが多い中でクレイジーさで目立つことによって声掛けられすぎて待ち合わせに間に合わなかったという話しも。
"英語で自分から話しかけるのはハードル高いので、話しかけられるようにする"というのは非常に良いTipsだなとおもいました 。Akimさんやmekezooさんのようにアバターきたり、y0shiJPさんのようにダンスしまくったり各々の工夫が垣間見えました。自らプッシュ営業を英語でしていくのはなかなかハードルが高いので、相手から興味を持ってもらえるような工夫を準備しておくのはグローバル問わず大事だなと感じられるエピソードでした。
質問:NFTのプライシングはどうやって決めるか?
会場からNFTの価格付けについての質問がありましたが、HALさんもmekezzoさんも現実世界のものをベンチマークにおいているのが印象的でした。mekezooさんは「現実世界のどの商品棚に並んでいるかイメージする。高級スニーカーなのかアートトイなのか。そこの値付けを参考 / 目標にプライシングしている。デジタルだからという理由で値付けを下げたり上げたりすることもない。」と言っていましたが、個人的には非常にしっくりきました。競合NFTの動向調査などからプライシング幅を決めるのではなく、現実世界で実際に提供されているモノの付加価値と比べるというのは、提供するものの価値を考える上でも良いアプローチだなと感じました。
■ セッション#4「DeFiの更なる分散化において求められる要素」
最終セッションはここでは書ききれないぐらい濃密な話しが多かったですが、最終セッションだけ後日メディア取り上げがあるとのことでしたので、細かい話しについてはそちらの記事を見ていただけたらと思います。
トピックとしては…
何が「分散」していることが大事か
WEB2.0的 / Web3的アプローチ
WEB2.0:Don't be evil
Web3:Cant't be evil
在り方を求めるのではなく、理論的 / 物理的にできないような仕組みを考える
フロントエンド開発の分散化
トークン所有に対してトークン保有ではなくトークン以外を還元する仕組みの必要性
単一障害点を無くすためのキーパーレスなサービス構築
QE相場とQT相場での大きなトレンド
QE~QTトレンドが断続的にくる
QE(Quantitative easing) = 量的緩和 マーケット
QTのときに磨かれた技術が大量にフォークされたりバンパイア・アタックが増える
妥協した技術のProtocolでも高APY
QT(Quantitative tightening) = 量的引き締め) マーケット
QEのときに生まれたコピー品が死ぬ
技術が磨かれていくフェーズ
本物の技術こそ残る
トークノミクスがあることによる開発分散性
トークンインセンティブが存在し続ける限り
DAOはリソース配分のシステム
税金を集めて分配しようてきな仕組みはDAOで良い
市場原理が必要なものは回っていないものも多い
乱雑なメモですがこんな感じで多岐に渡るトピックがあり、大変刺激的なセッションでした。個人的にはオープンソース開発とノーコードツールの組み合わせの話しが面白かったです。
ノーコードツールが発展することで、非エンジニアもフロント実装の可能性が出てくるのでオープンソースの運用にも幅がでていきそうですね。
終わりに
正直日帰り京都はスケジュール的にしんどいなーなんて思っていたのですが、結果としてはネットワーキングもインプットも良質にできて満足度が高い一日になりました。とにかく20代前半の若くて優秀な人が多い市場で、技術キャッチアップも行動力もずば抜けている人達が多く、30超えて英語もろくすっぽできないおっさんはより頑張らなければと思った次第でございました。
主催者の松葉琉我さん、鈴田泰久さんをはじめスタッフの方々、登壇者の皆様、そして参加者の皆様、素晴らしいイベントをありがとうございました!
今回もお読みいただきましてありがとうございました!
Enjoy Web3 Life!!!